企業訪問レポート

水口酒造株式会社

2011年12月3日水口酒造株式会社様にお邪魔しました。
水口社長自ら、お出迎えしていただき、創業時の建物の中へ。

創業史はこちら>http://www.dogobeer.co.jp/HISTORY.html

1895年創業の100年企業です。水口社長は4代目。
家訓は「のれんを守るな、のれんを破れ」常に革新せよとの厳しい家訓。

簡単に歴史を振り返ると、見事な革新の連続です。夏の閑散期の仕事を確保する為に、1930年ニキタツ製氷を開業。そして、バブルの頃には不動産業にも進出。4代目の現水口社長になってからは、革新しっぱなしです。毎年、何か新しいチャレンジをし続けています。そして、ヒット商品も続々と生まれています。

背景を、ご説明頂いたので簡単にまとめると、日本酒だけで商売が出来る時代ではなくなった。ビール、ワイン、焼酎とお酒も多様化してきた。ビールやワインの様に大量生産の体制が作りづらい。少量多品種で旬を大切に「適材」「適所」「適時」「適人」を考えて商品化する事で、自分たちの経営リソースを最大限に活かすことができる。4代目を継いだ頃は、大手酒造メーカーへのOEM供給が9割で商売をしていたが、日本酒の需要が減り大手の下請けをやめて試行錯誤を繰り返し、日本酒以外にも松山道後ブランドで色々な商品開発にチャレンジをしていくと、社員の意識も上がり「にきたつ大吟醸酒」全国新酒鑑評会で金賞受賞しています。

最初の転換点は、道後ビール。規制緩和で地ビール作りが解禁になり温泉ご当地ビールに一番乗り、大ブレークです。日本酒メーカーでビールプラント持っているところは珍しいとの事。道後ビール製造開始と同時に「千と千尋の神隠し」の劇中に登場する「油屋」のデザインの元になった道後温泉本館の向かいに、1996年道後麦酒館を開店「風呂上りの一杯」をうたい文句にして、こちらも大成功。自らの技術をベースに、少しだけ領域を広げ、新しい商品やサービスを作り出し、地元に雇用を創出する。正に、地元に根を張り地元と共に生きることで、発展してきた会社です。

「観光客数を増やす=売上げを伸ばす」なので、観光客誘致で他業種との連携も積極的です。JTBと「松山ハイク」 俳句とハイク(歩く)をかけて企画。伊予鉄道と「坊ちゃん列車」を企画、のれんを掛ける運動で町興しなど酒造事業に留まりません。色々な企画を考える水口社長が、夏目漱石「坊ちゃん」のなかで水口酒造の事を書いてくれていれば、もっと色々仕掛けられたと悔しがっていたのが印象的でした。俳人種田山頭火の終焉の地でもある道後温泉では、山頭火の日記に道後温泉で「一浴一杯」と記されています。この一杯は水口酒造のおごり酒だったとの話も、歴史を感じさせる逸話です。

現在は、3年前から年末に放送されている「坂の上の雲」で、観光客も増え、少し息の長い人気が続き、街も賑わっている様子でした。

水口酒造は、「伝統と革新」を見事に両立する100年経営企業でした。これからも、毎年どんな事にチャレンジして行くのか、とても楽しみです。
 

今回訪問させて頂いた水口酒造さんの美味しいお酒はネットで購入できます。
飲みたい気分の方は、是非御覧ください。

http://www.dogobeer.com/