企業訪問レポート

札幌医科大学

7月24日(日)、【スタディツアー in 北海道】の4つ目の訪問先として札幌医科大学を訪れ、辰巳治之先生と木村俊昭氏にご講演頂きました。
今回の訪問で一つ残念だったことは、ご講演の時間が足りなかった事です。辰巳先生の発表予定の大半を聞くことができず、木村氏のお話も多くを聞く事ができませんでした。今一度、辰巳先生、木村氏が取り組んでいる地域医療構想の全容をお聞きする機会を頂きたいと願っております。

最初に辰巳先生よりお話を頂きました。
地域医療構想の実現の為に、ITネットワーク環境の整備が重要で有ること、また、医療業界ではIT環境整備が様々な問題により、後進的な状況である事をうかがいました。医療業界で情報・通信技術が積極的に取り入れられていないという現状については、私も医療関係の会社に所属する事もあり、実感していた問題であります。
医療に関する様々な問題の中で、最も重要視される事は、患者への医療サービスの質を向上させることです。私は、サービスの質の中には、品質とコストの問題が大きなウエイトを占めると考えています。
その二つの問題を解決する方法として、医療系の情報ネットワークを開発することが重要であるにも係らず、この業界特有の様々な慣習によってその進捗が遅れている事は明白でした。
辰巳先生のお話の中で、医療系ITネットワークの普及に大変ご苦労されたというお話しがございました。現在は、かなりの率で普及しております電子カルテにつきましても、大変なご苦労と大変な努力をされた事と思います。

辰巳先生のお話の中で、印象に残った言葉が幾つかあります。
「IT化ありきでは無く、良い医療現場ありきである」
「情報ネットワークというのは、人と人のネットワークである」
「本当に良い事を良いと言える社会になるべき」
辰巳先生の言葉を正確に再現していないかもしれませんが、このような意味合いの言葉が私の頭に残っております。
そして、「だましのビジネスではなく、人が欲するサービを提供すれば、そのビジネスは継続する」というお話も頂きました。
是非とも別の機会に、辰巳先生の地域医療に関する具体的な取組みについて、ご講演を聴きたいと思います。

続いて木村俊昭氏にご講演頂きました。
最初に御挨拶された時に直近のスケジュールをお話されましたが、まずは、そのスケジュールに驚きました。毎日、日本全国を飛び回り様々な地域の再生・活性を目指し頑張る姿勢そのものに感銘を受けました。
ずっと東京に住んできた私にとって地域再生の問題というのは、正直大きな問題意識を持ったことがありませんでした。今回の講演を聞いて、日本全国には、地域再生がその地域で生きる方々の死活問題であること、そしてその問題に対して本当に誠心誠意、身を粉にして毎日全国を飛び回っている方がいる事を認識できた事は、本当に勉強になりました。
木村氏のお話の中で、「主たる産業の起業」、「その産業を支える人材の育成と定着の問題」、「人材の東京への流出」などが、地域再生における主な問題であるとうかがいました。そして、その問題の根源の一つとして、そこで暮らす子供達が自分の住む地域の仕事を知らないという事をうかがいました。
主たる産業を支える人材を育成し、そこに定着させるには、その地域で完結するライフサイクルが描けなければならないという事です。

そして、そのライフサイクルを支えるインフラを整備するには、情報ネットワークの構築も必要となり、地域の実態を子供から大人までがしっかり認識する事が大変重要な事であると学びました。

そこで、辰巳先生のお話とつながります。

「情報ネットワークというのは、人と人のネットワークである」
地域再生の為、人と人とのインターフェイスとなり全国を飛び回って奮闘する木村俊昭氏、地域医療の現場を良くするために熱い思いをお話し頂けた辰巳治之先生のお二人に心より御礼を申し上げます。