企業訪問レポート

池内タオル株式会社

2011年12月4日、愛媛県今治市にある池内タオル株式会社様に訪問しました。日曜日にも関わらず、池内社長と総務の益永様に丁寧に対応して頂きました。池内タオル様は、1953年創業で従業員数16名、『最大限の安全と最小限の環境負荷』のコンセプトのもと自社ブランドの製品開発をおこなっており、熱狂的ファンを獲得し世界レベルでの評価を受けている日本が誇る中小企業です。はじめに、商品カタログとメディア放送収録DVD、そして真っ白なタオルハンカチを頂き、商品の手触りを確認するところから講義が始まりました。タオルは、しっかりとした厚みがあり柔らかく安定感と安心感があると思いました。

国内のタオル産業は、企業数がピーク時の約500社から現在が約110社までに減少しており、生産量はピーク時の約1/5になっているそうです。また安価な輸入品が国内販売の約8割を占めているそうです。この衰退産業であるタオル産業で、7年連続で売上を伸ばしているのが今回訪問させて頂いた池内タオル様です。世界中どこにもないオンリーワン企業である池内タオル様は、地方の中小企業活性化のモデルになる可能性を感じました。池内タオル様が注目されるきっかけとなった出来事は、2002年アメリカの『ホームテキスタイルショー』で日本企業として初の快挙である最優秀賞を獲得したことで、2003年小泉首相の施政方針演説で紹介されたことです。

元電機メーカーのエンジニアでオーディオを担当していた池内社長は、当時のお話も丁寧に聞かせて下さいました。当時情熱を注がれていたものづくり精神は、商品が変わっても引き継がれていると感じました。社会性もある理想の商品を追求することで周囲から評価されるようになり、ものづくりの醍醐味を味わっているのだと思います。元電機メーカーのエンジニアの池内社長が経営を引き継いだこと、池内タオル様が海外から評価されたことをきっかけとして一躍有名になったことを考えると、外部の目を持つことは非常に大切なことであると感じました。

会社内の販売所も見せて頂きましたが、どの商品もいい意味でシンプルだという印象を受けました。これらの商品は、原材料調達からこだわりを貫いており、余分なものはつけずに柔らかさと吸水力を高めているそうです。これらの商品の約9割がお客様に選ばれてオーガニック商品になっているそうです。また、お客様の自宅のタオルを統一させてもらいたいという想いから、敢えてデザインの変更を行わないことで、多くのリピーター(売上の半数近く)を生んでいるそうです。

お話を聞いていて、池内社長の先見性やこだわりを持った一貫性の強さを感じました。具体的には、①社内のIT化を積極的に進めてきたこと、②かつて売上の99%を占めていたデザイナーズ・ブランド(OEM)を廃止し、売上の1%だった自社のファクトリー・ブランド(IKT)に注力したこと、③レベルの高い品質認証、環境認証を取得していること(高レベル排水設備へ投資等)、④『風で織るタオル』(風力発電の電気を購入し製造する)でブランディングを図っていること、⑤途上国支援も含めた『コットン・ヌーボー』(オーガニックの品質の違いを愉しむ概念)や『風で織るファンド』(原材料調達先であるタンザニア支援)といったコンセプトなどです。原材料調達先である現地の写真をたくさん見せて頂いたので、非常にイメージが湧くとともに本業が強い企業が行うソーシャルビジネスの可能性を強く感じました。

休日の訪問だったので、工場内や従業員さんの働く様子が見れなかったのは少し心残りでしたが、ファンであるお客様と一体となった経営が印象的な会社でした。日本を代表する中小企業としてますますのご発展を祈ってます。どうもありがとうございました。