NPO法人アサザ基金

その霞ヶ浦の水質汚染を改善するために、飯島さんは汚染源を見つけ出し、そこのみ改善するというような自己完結型の事業ではなく、湖と流域全体の自然と社会に目を向け、自然と社会の新たな関係性を築こうとなされた。そこで、水辺に育てたアサザを植えるという、誰もが行える「市民型公共事業」を創り上げられた。このアサザで霞ヶ浦の水質を改善し、豊かな自然の再生を行う「アサザプロジェクト」の中心となっているのが「アサザの里親制度」である。これは、霞ヶ浦で育ったアサザの種子を、市民が種から育成し、成長したアサザを湖に植え戻すという取り組みである。また。アサザが定着するまで、アサザを波から守るために、建設省と森林組合が連携し、間伐林や粗朶で粗朶木沈床をつくられた。

飯島さんは、そのアサザプロジェクトを中心として、社会システム全体を再生しようとしている。社会問題に対して、ある一部に対してのみの自己完結をしてはいけないのである。本当に今存在する社会問題を解決したいならば、社会システム全体を見渡し、有機的なネットワークを構築していかなければならないのである。一つ一つの組織や専門性を持った主体が、自己完結的に問題を解決するのではなく、もっと相互にネットワークをつくり、総合的、多角的に問題をとられ、様々な方向から問題解決のためのアプローチをしていかなければならない。

それと、私にとって心に残っていることばは、社会や人間は”関係性”の上で成り立っており、自己のアイデンティティというものは存在しないということである。

それと、社会はすべてつながっており、有機的ネットワークがとても重要だとおっしゃられていた。現代は中心的組織が必要なのではなく、多様な結びつき・有機的なネットワークが必要である。細分化された社会は、そのひとの価値観・視点に固着し、社会全体を見渡せなくなってしまうのである。様々な関係性が分断され、個々に存在する世の中から、各個人や組織がつながりあい、多様なネットワークを築いていくことが、社会への変容の第一歩なのだと思った。
飯島さまのお話を伺い、すでに与えら得るものは用意されている(いくつか)それを素直に受け止め、それを表現し、社会や自分の外に表出すればいいのだと思った。そのため、素直にあることを受け止め、社会に現すものなのだから、人類みなすべてがアーティストなのだなとだと感じた。
当日は、初めに飯島様のお話を伺い、その後、現場を見させていただいた。神谷小学校やホギメディカルという企業が行っている谷津田再生事業を見学させていただいた。前は放棄地だったとは思えない程、素晴らしい田んぼでトンボが飛びまわり、自然豊かな場所であった。自然を破壊するのは容易だが、自然を再生するのはとても苦労をともなうものだなと改め思った。しかし、このような素晴らしい自然環境を保てているのは多くの人が関わり、地道な努力を積み重ねてきた結果なのだなと感じた。
当日はお天道様が元気でとても暑かった。しかし、きれいな澄んだ空で、雲がとても近く感じられた。また、緑や自然が豊かで、空の青、雲の白、田んぼや木々の緑のコントラストがとても美しかった。
